田島ルーフィング株式会社

DENIM FLOOR
© TAJIMA ROOFING INC.
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THE DENIM FLOOR STORY

# 03 古びる床

「インディゴは、アナログ極致の原材料。
時代遅れの染料だから魅力があります。」

今回、共同でタイルを開発したデニム生地老舗メーカーの
カイハラ桒田氏は笑顔でそう話してくれました。

デニム生地がどういう仕組みで、使うほど味わいを増していくのか。
そしてデニムの経年変化が、どうして人々を魅了するのか。
今回は作り手と使い手、双方向からの声をお届けします。

カイハラ 桒田康弘 × 田島ルーフィング 三好弘幸
  • カイハラ桒田康弘くわだやすひろ

    桒田 康弘(くわだやすひろ)
    カイハラ株式会社

    1988年広島県生まれ。2012年カイハラ株式会社入社。現在営業部所属。デニムの可能性を常に追い求め、帆船、車、ホテル等、数多くの企業とコラボレーションに携わる。

  • 田島ルーフィング三好弘幸みよしひろゆき

    三好弘幸(みよしひろゆき)
    田島ルーフィング株式会社

    1972年京都府生まれ。商社勤務を経て、2000年田島ルーフィング株式会社入社。営業の後、フロアマーケティング室所属。現在タイル開発に携わる。使う人に親しまれる製品づくりを目指す。

デニムフロア(DML-101)
デニムフロア(DML-101)
デニムフロア(DML-101)

デニム生地が持っている本来の魅力

2018年2月に正式に発表された『デニムフロア』は、さっそく日本だけでなくニューヨークやカナダでも導入されるなど、大きな反響を得ることができました。「従来の建築仕上げ材の多くが実現できなかった、劣化ではなく経年変化を楽しむという新しい価値観を商品に結実させた点」が高く評価され、2018年度グッドデザイン賞も受賞しています。

「デニムの魅力は、やはり変化するということでしょう。弊社で行ったテストでは、1年くらい使っていると、色合いの変化が見られました。汚れて色が暗くなるのではなく、逆に色が鮮やかになっていました。まさにデニムの醍醐味です。人の歩行によって、色が変わる。これはデニムだからこそできることだと思います」と三好は説明する。

「弊社に数多くのコラボレーションの話がやってくるのは、やはりデニムがあると、自分とのつながりを感じやすい。日常の延長になりやすいという部分が理由なんじゃないでしょうか。高級すぎて手が届かない、ちょっと自分の生活から遠いところにあるのではと考えてしまうものでも、デニムを使うことでより身近に感じられやすくなる。そういう魅力がデニムにはあると思います」と桒田氏。

デニムが使うにしたがって白くなるのは、インディゴで染める生産方法に理由がある。デニム生地は、真っ白な糸を藍色のインディゴで染め、その糸を織ることで生まれる。ところが藍色に染まった糸の断面を見ると、中央部分に白い部分が残っている。ここに白い部分が残るために、表面が削れていくと内部の白が現れて、色味が変化するのだ。デニムフロアが、使ううちに明るく色鮮やかになるのは、そうした内部の白い部分がはっきりと露出するためだ。

  • デニムの芯白性(しんじろせい)
    糸の中心が白く、染まってない。この構造により、デニムの色落ちに風合いが生まれる。

糸の断面を見ると、表面の青い部分と芯の白い部分の境界がはっきりしていること。これが良質なデニムに求められる芯白性(しんじろせい)だ。そうしたデニム素材を作るために重要となるのが、糸を染める工程となる。最も単純でコストがかからない方法は、染料を溜めた水槽に糸を1回で浸して染める「シート染色」。ただし、この手法で染めた糸は、表面から芯にかけてグラデーションのように色が染み込む。一方、芯白性にこだわった生産方法が、カイハラ株式会社が採用する「ロープ染色」。これは1本の糸を強く引っ張りながら、数多くの染色槽をくぐらせて染めていくというもの。雑巾をきつく絞りながら水に濡らすと、芯まで水が染み込まないというのと同じ原理で、糸の芯を白く残す手法となる。1つの水槽にドボンと漬ける方法と比べれば、各段に手間暇がかかる方法だが、そうした手法で生産するからこそ、カイハラデニムは世界から賞賛されるようになったのだ。

糸の断面図
  • ロープ染色【ロープ染色】
    青いところと白いところの境界をくっきりさせることができる。
    削れた時に、白の見え方にムラが出にくい。
  • シート染色【シート染色】
    表面から芯にかけてグラデーションのように色が染み込む。
    削れ方によって、白の見え方にムラが出やすい。

使うことで魅力を増していくデニムに対して、どんな思いが込められたのか。
作り手の思いをお伝えしましょう。

「インディゴは、アナログ極致の原材料。時代遅れの
染料だから魅力があります。」カイハラ桒田氏

カイハラ 桒田康弘氏

「インディゴは、原材料としては不安定ですし、色落ちするなど欠点だらけ。時代遅れの扱いづらい染料なんですよ(笑)。でも、そういう部分が魅力なんですね。アナログの極致です。でも、最近のテキスタイルのトレンドは、温度や湿度などを生地が察知して、自動で調整するというスマート化を目指しています。超デジタルですね。そういうデジタルと、デニムというアナログを組み合わせて、新しいモノを提案したいと考えています」と桒田氏。

田島ルーフィング 三好弘幸

「カイハラさんとは本当に何度も打ち合わせを重ね、実際に工場の生産体制も見せていただきました。インディゴ染料の酸化を巧みにコントロールするところなどは、これが世界トップクラスのデニムメーカーの技術なのかと感心しましたね。また、いっしょにデニムフロアを作っていくなかで、品質の高いデニム生地を作れるのは、紡績から染色・織り・最終仕上げまでを一貫生産するカイハラさんならではのクオリティという点も実感できました。今回は、カイハラさんといっしょにものづくりをさせて頂いて、本当によかったと思っています。」と三好。

では、作り手たちは、今後デニムフロアにどのようなかたちで、社会に役立ってもらいたいと思っているのでしょうか。

「オンラインとは正反対ですね。実際に来店して、足を運んでもらわないと体感できないのが『デニムフロア』です。自分が来店した痕跡を残せる。デジタルなオンラインではなく、アナログの物語を刻めるという。本来、床のタイルはパブリックなものですけれど、そうして自分の記録を残せるという意味ではパーソナルなものになります」と桒田氏。

「室内空間を形づくる、床・壁・天井という六面体を考えたとき、床だけが常に人と接しています。ですから、床には、そこで暮らした人たちの生活の跡が残ります。それを愛してほしいなと思います」と三好。

これからも、作り手たちは新しいものづくりに挑戦し続けます。

デニムフロア

導入事例

Better Living ecle 名古屋店

デニムフロアを採用してくださった
ボヘミアンデザイン 神矢氏にお話を伺いました。

Better Living ecle 名古屋店

ベターリビンエクレは「ライフスタイルを提案する生活雑貨店」。
関東を中心に展開し、2018年9月名古屋に初出店。
施主:南海通商株式会社 代表 栗野祐次 店舗デザイン:ボヘミアンデザイン 代表 神矢正次
http://www.nankaitsusho.com/new_slice/nagoya.html
神矢氏がデニムフロア(DML-101)を選定し、南海通商様にご提案、本採用の流れとなりました。

デニムフロアを選んでくださった意図を教えてください。

「1つ目はデニムは老若男女好きな人が多いということ、2つ目は、ベターリビンエクレさんがライフスタイルを売っていく雑貨店ということです。ただの箸が、使っていくうちに愛着がわき、その人の物になっていく。経年変化を起こすデニムもそういうところが同じなので、お店のコンセプトに合っていると思いました。お客様が店舗に来るたびに、床がどんどん剥げていき、床が逆にかっこよくなる。お店で買った雑貨も同じように経年変化を楽しんでもらい、使い終わったらまた買いに来てもらいたいと思っています。3つ目はベターリビンエクレさんが関東圏以外での初めての出店だったので、僕も同じく新しいこと、お客さんに提案できるようなことにチャレンジしたいと考えました。TAJIMAから送られてきた新商品の中にあったデニムフロアを見て、服などの衣料関係ではないデニムの次の使い方を提示されたと感じました。せっかくの良い素材なので服などアパレル関係だけでなく、壁や床など住居関係に使えないかと。そんな新しい提案が出来ること、この3つの要素をふまえて決めました。ベターリビンエクレさんも面白がってくださいました。」

ショッピングモール内の店舗外観
ショッピングモール内の店舗外観
ショッピングモール内の店舗外観
店内には生活を豊かにするという視点から選ばれた生活雑貨がならぶ。陳列棚に本が置いてあり、ふと手にとってみたくなる。こちらもベターリビングエクレ、ボヘミアンデザインから共にお客様への提案として。
ショッピングモール内の店舗外観
床が変化するというコンセプトはいかがでしょうか。

神矢氏はさらにこう語る。「子供が歩いた跡がどんどん薄くなっていき、そこが汚れではなく思い出や会話のきっかけになる。それを僕は豊かだと思います。汚いとか危ないということよりもずっと豊かです。ダメになったらジーンズを履き替えるように、すぐ貼り替えれば良い。剥げていくのが楽しいねと思ってくれると良いなと思います。
デニムの普遍的な魅力を違った形で表現できることは僕はすごく良いことだと思います。それを僕たちが媒体となって伝えていけたら良いなと思います。」

ショッピングモール内の店舗外観
働いている人が楽しめるよう、レジ周りにもデニムフロアを配置。店長さんからは、「レジまわりのデザインが良く、働いていて気持ち良い。また、歩行感が良くて足が疲れにくい」との感想も。

ボヘミアンデザイン 神矢正次[ 店舗デザイン ]

北海道生まれ。北井建築設計事務所、北山創造研究所、パシフィックファニチャーサービスを経て、2005年にデザイナーとして独立。主に、飲食店・アパレルショップ・理美容室・エステサロン・エキシビジョンブース・オフィス・住宅等の空間デザイン・設計・監理及び家具・照明等のプロダクトデザイン、サイン等の環境グラフィックデザインの他、建築デザイン・設計監理が活動主体。2017年度グッドデザイン賞受賞。

東京都豊島区南大塚2-17-3 Treform421
TEL.03-5981-8374

THE DENIM FLOOR STORY

人が出会ってこそ、新しいものが生まれる。
デニムフロア開発の道程をご紹介します。

ANOTHER SIDE CONTENTS

  • カイハラヒストリー
    カイハラヒストリー

    「それは、絣に惚れた男から始まった。」 カイハラが1893年に創業してから、さまざまな苦境を乗り越え、 現在の世界的デニム生地メーカーとなるまでの歴史をご紹介します。 *ご覧になるには、Flash Playerが必要です。

  • Pタイル 時代とともに。ひとのそばに。
    Pタイル 時代とともに。ひとのそばに。

    GHQの要請を受け、Pタイルを日本で初めて製品化したTAJIMA。 Pタイルのさまざまな施工事例を、そこに関わる「人」とともにご紹介します。

  • はじめまして、僕はPタイルねこ
    はじめまして、僕はPタイルねこ

    皆さん 学校や病院などいろいろな建物の「床」に使われている「Pタイル」ってしっていますか? 「ピータイルねこ」が登場する「ふしぎの時間割」もご紹介。

THE DENIM FLOOR

プロモーションムービー

  1. ファクトリー編

    素材に対する真摯な向き合い

  2. ダンス編

    成長し進化する床を体感